医療とIoTの現実

医療とIoT市場についての日々の思考。 組込、回路の技術。 作っているIoTデバイスの紹介も。 

医療機器の開発のはじめかた

こんにちは。

私は2年間医療機器に関わってきた経験から、医療機器の変わったマーケティングについて書いていこうと思う。

 

医療機器業界では他の業界では見られない方法での製品の市場性を見極めが入る。

一般的に家電や、産業機器を新規開発する前には、市場調査をして、どれぐらいの需要があってどれぐらい売れるのか想定し、そして予想販売台数から、売価を決定し、何台で開発費が回収できて、事業として成り立つか算出すると思うが、

 

医療機器の開発アプローチは、その中で考慮する独特のプロセスが保険点数の考慮だ。

その装置を使った医療行為は保険適用か、そして何点つくかどうかを探すのである。

 

日本では「国民皆保険」とされ、生活保護の受給者などの一部を除く日本国内に住所を有する全国民、および1年以上の在留資格がある日本の外国人は何らかの形で公的医療保険に加入するように定められている(≠強制保険)。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8C%BB%E7%99%82%E4%BF%9D%E9%99%BA

 

日本で、医療行為を受ける時は、国によって定められた保険点数に従って、我々患者の支払額が決定される。

高齢者以外の国民が負担するのは、その保険点数から決められた額の3割である。

病院側が治療に使う医薬品や、手技はすべて保険点数が決められていて、それにしたがって計算される。

 

医療機器を開発する際には、この医療保険の点数が高い機器でいくら儲けられるかお目標の一つにして開発を進める。国民の血税である医療保険財源から、点数が多く下ろすことが出来そうな機器があれば、開発するというわけだ。

 

ちなみに医療保険点数は、既に開発されて年月が安全性や効能がある程度担保されて、かつ医学会に有効と認められた機器以外は、保険点数適用と認められていない。なので革新的な医療行為をするような医療機器は保険適用でない場合が殆どである。

ただでさえ日本の医療保険制度は財源が破綻していて、これ以上保険適用範囲は増やせない状態にあるから、これ以上保険が使えてお金がかかる医療を国としても、おちおち増やすわけにはいかない。

 

ちなみに読者の中には、保険が適用されない自由診療によって、新規に開発された医療機器を使用したいという人もいるんじゃないの?という疑問を持つ人もいるかもしれない。

これはよく知られているが、混合診療禁止と言われて、保険適用される医療と、保険適用外の医療を一緒に行ってはいけないというルールがあるからだ。

 

しかし、先進医療制度という制度が平成18年にできて、一部の認められた保険適用外の医療行為は保険適用医療と、併用できるようになった。ただし、あくまでも先進医療として認められた物だけであり、今までの混合診療禁止とさして状況は変わっていない。

 

医師の側としては保険点数さえつけば、患者側が医療費の支払いに対して壁が無い(3割しか負担しないので)こともあり、機器導入への算段がつけやすく、圧倒的に導入に踏み切りやすい。つまり医療機器の会社は(医薬品の会社も)保険点数がつかないような事業にはなかなか進出しない。保険点数が付く医療機器と較べて、ほとんど儲かる見込みがないのだ。

 

ちなみに医療保険の点数がついてないものを、新たに申請するのは、なかなか大変だ。

開発した医療機器を学会や権威ある医者に働き変えて、この医療機器を使った医療行為が、

いかに有用であるか働きかけて、実績や信頼を、つくりあげる必要がある。

そうすることで、国は重い腰を上げて、保険点数をつけるかどうかを判断するのだ。

 

つまりここから、医療機器を開発する会社は殆ど市場に受け入れられるかなんて考えておらず、いかに高い保険点数の機器を開発するかを考える。

 

こんな理由で日本で優れた先進的な機器が開発されないのは明白である。

一説には日本の医療機器はその他先進国に2世代ぐらい遅れていると言われている。

これからも医療機器メーカーは、せっせと保険点数を追いかけ、本来国民全員に医療を均等に、もたらすはずの医療保険が足かせとなり、日本は時代遅れになっていくのである。

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